かすてぃら

姉から電話があった。F1000172

緊張した声で、母が危篤だという。

実感が湧かないが急いで帰る準備をして

テーブルの上にあった手つかずの単行本もバックに詰め込んだ。

電車の中で先ほどの単行本(かすてぃら)を開いてみた。

さだまさしさんの本なので買ってしまったが、内容は確認していない。

読み進んで、驚いた。

さだまさしさんのおとうさんの最後の時を淡々と描いた本だった。

今の私にはとてもタイムリーなお話でびっくり!

当分看病になると思い、着替えなど大きな荷物をもって、

実家の玄関を開けると、危篤の筈の母が立っていた。

後ろに気まずそうな姉と父の姿があった。

よく聞いてみると、

昼前から昼寝して、夕飯の支度もせず

起こしても返事もなく、何の反応もなく

息だけしていたらしい。

父と姉はこのまま苦しまずあの世に行くのだと思い込んだという。

毎食の支度をして、庭の花の世話を毎日している人間がいくら高齢とはいえ

そんなに簡単にあの世には行けないと思うのだが、人生何が起こるか分からない。

今回は笑い話だが、いつか本当のハハキトク、チチキトクが来るのだろう。

元気なうちに一緒の時を多く過ごしたいと思った。